あとがきめいたもの2

 「Not to fairy tale」完結記念に、思うことなどつらつらと。

 タイトルからして「おとぎ話じゃない」上に、あらすじが「一人の少女が『魔女』と呼ばれるようになるまで」で、テーマが「人の持つ残酷さ」だったりする(魔女狩りを行う村人もそうですが、ロミも色々とやらかしてる)ので、前作のほのぼのテイストとは全く違った話になってしまいましたが、読んで下さった方々に少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。

 追記で、解説とか本文中のネタバレとか。



 前作の解説部分で「ロメリアが魔女になった原因は、公子の祖父」と書きましたが、結果として全然関係ない話になってしまいました。最初は公子の祖父が若き日のロミと恋に落ちるも魔女狩りに巻き込まれ……というプロットだったんですが、「恋愛で酷い目に遭ってたら、公子にエルベティーナが言い寄られた時にもっと警戒するはずじゃないのか」という意見をもらって改めました。
 ごめんよ公子の祖父……。
 結果として、「黄金の綱」で奥様が住んでたお屋敷は、「元々は公爵家の別荘」という設定から「ロメリアが自力で建てた」という設定に。いや、建てたのは多分、彼女の依頼を受けた妖精さんなんだろうけど。

登場人物について
■ロミ(ロメリア)
 「黄金の綱」のラストで明かされた奥様の名・ロメリアですが、これは彼女が自分自身に「真の名」として付けた名前という設定。とはいえ、メタな話をすれば先にロメリアという名前を考えたのでロミにしたという経緯があり、命名順は逆です。
 『ロメリア』はスペイン語で『巡礼』という意味があります。前作の執筆時点で本作の構想があったので、幼い頃から異世界を巡り、故郷を追われた後は安住の地を求めて地上をさすらい、魔女となった後もあらゆる世界で知識を求め続ける彼女の生き様にふさわしいと考えて、この名を選びました。
 ちなみにロミの生まれ故郷は、スペイン南部をイメージしています。エニシダとマンネンロウ(ローズマリー)の陰に隠れるシーンは、当初オリーブにしようと思っていました。しかしオリーブだと地上近くにはあまり枝を伸ばさないし、根元に別の植物を茂らせておくこともあまりないと気づいて変更したという経緯があります。
 ともあれ、その結果として登場当初のロミの容姿は「黒髪・浅黒い肌」になりました。そして旅の終着点は北欧をイメージしているので、ヨーロッパ大陸をほぼ縦断しています。

■ゴテル
 「ラプンツェル」に出てくる魔女の名前です。前作で使いどころがなかったので、こちらで使いました。童話では紛うことなき魔女ですが、本作ではほんの少しだけ「何か」を感じ取る能力があるだけの人間。
 童話ではラプンツェルを追い出し、王子に制裁を加えた後の魔女がどうしたかについては描かれていませんが、本作ではストーリーの都合上たいへん痛ましい最期を遂げることとなりました。
 でもきっとロミと過ごした三十余年は幸せだったと思うよ!

作品中でオマージュした童話・伝説
■ロミが送り込んだ盗賊たちの魂を、猟犬を使って狩っていた魔物
 秋の夕暮れ時、空に猟犬たちの吠え声が聞こえ、霊感のある人には罪人の魂を追う猟犬の姿が見えるというイギリスの妖怪『ガブリエルズ・ラチェット』。ちなみにこの伝承はコナン・ドイル著「バスカヴィル家の犬」の元ネタらしいです。
 本当にどうでもいい裏話ですが、猟犬たちを使っていた「漆黒の馬に跨った赤髪の貴人」のイメージモデルは、別作品で現世での殺戮をやらかしてるあの人だったりします。

■舞踏会に行きたがっていた少女にロミがドレスと靴を貸してあげる話
 言わずと知れたシンデレラ。
 人目を避けて行動していたロミなので、シンデレラ本人の頼みで助けてあげたのではなく、彼女の実母の魂が乗り移った小鳥と、苦労をずっと見ていたハシバミの木に頼まれて手を貸してあげたという裏話が、あったりなかったり。

■旅の終わりに、北の森を歩いていたロミが来ていた、お手製の毛皮マント
 念頭にあったのは「千匹皮」ですが、わかりにくい(笑)

■ゴテルとロミが出会うシーン
 これも分かりにくいですが、実は「赤ずきん」のオマージュ。色は明記してませんが、ゴテルはちゃんと「頭巾」をかぶっています。

■ロミの力強く頼もしいお友達、《深きに住まう者》
 「窓に! 窓に!」の、深海に住まいし古き神々です。

■ロミの魔界での親友・リューキル
 こちらはアステカ神話の「翼ある蛇の神」ケツァルコアトルがモチーフ。ちなみに翼は幼体の頃は空色、成長と共に夕暮れまたは朝焼けの色(雌雄で違う)へと変化し、死期が迫ると夜空(黒)になるという裏設定があります。使わないし要らない設定ですが。

2014.04.20 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 創作語り・文章

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月下部 嵯(かすかべ・たかし)

Author:月下部 嵯(かすかべ・たかし)
物書き一筋二十数年。
とはいえたまに絵も描く。
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